大阪大学 全学教育推進機構・
大学院医学系研究科・
大学院生命機能研究科
スポーツ脳情報科学研究室

研究内容

七五三木研究室では①行動の目的や環境に応じてダイナミックに変化する脳情報処理機構の解明と、その脳機能ダイナミクスに基づいて②アスリートの視覚機能および視覚-運動協応機能を改善することでスポーツパフォーマンスを最大化する2つの研究に取り組んでいます。ニューロン(神経細胞)レベルからヒトの知覚・認知・行動レベルでの計測及び解析を実施するために、動物実験グループとヒト実験グループの2グループから構成されています。

Animal Study

"見て分かる"ための視覚認知機能、"見て身体的に働きかける"ための視覚性運動制御機能は、その時々の覚醒レベルや、行動文脈(何をしようとしているのか)、また、焦り、不安、集中、やる気などの精神状態によって常に変動しています。その神経メカニズムとして、「各状況に応じて脳全体に広く分泌される神経修飾物質(アセチルコリン、ノルアドレナリン、セロトニンなど)が視覚情報処理系に作用することで機能的変化が起こる」という仮説を立て、これを検証するために、行動薬理実験、そして認知課題を遂行中の動物から神経活動を同時計測する電気生理学実験まで行っています。
得られた知見をもとに、視覚情報処理を最適化することでスポーツアスリートのパフォーマンス向上する研究へ役立てられています。

視覚刺激検出課題を遂行中のラットから神経活動を同時計測するシステム

視覚刺激に対してラット脳 視覚野が応答する様子(Optical Intrinsic Signal Imaging)
(研究協力者 鈴木航博士, 国立精神・神経医療研究センター)

Human Study

卓球などの球技スポーツを行うとき、アスリートはコートの様子や球の動きといった視覚情報を脳で運動に変換することで様々なプレーを行います。しかしながら従来のスポーツトレーニングは、筋肥大や呼吸循環機能といった身体機能向上を目的としており、脳情報処理の改善を目的としたトレーニングはほとんど存在しません。私達は、視覚情報処理に着目し、その情報処理機構を改善するためのトレーニング開発、日々のコンディションとの関係解明について取り組んでいます。
様々な観点でヒト脳機能を評価するため、スポーツ場面を構成する主要な要素を含んだ心理物理実験、ボールなどの視標の運動情報を処理する脳機能を評価するラボテスト、仮想現実(Virtual Reality: VR)を使ったパフォーマンス評価に至るまで幅広く研究を行っています。

ヒト心理物理実験の様子
脳機能に基づいた新規トレーニングプログラムの開発
プロジェクト全体の概要
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